旅行先や出張先、単身赴任先など、住まいとは違う市区町村でご家族が亡くなったとき、「死亡届はどこに出すのか」「火葬はどこでするのか」と迷われる方は少なくありません。結論からいうと、死亡届は亡くなった土地の役所にも出すことができ、火葬の許可はその死亡届を受け取った市区町村が出します。一方で、葬祭費などの給付は故人が加入していた保険の窓口に申請します。この記事では、手続きごとに「どこで」が変わる理由を、法律と自治体の公式情報にそってご説明します(2026年10月時点)。
死亡届は、亡くなった土地でも出せます
戸籍法は、届出は本籍地か届出人の所在地で行うと定め(第25条第1項)、そのうえで死亡の届出は死亡地でもできるとしています(第88条第1項)。つまり、死亡届を出せる場所は、故人の本籍地、届出をする方の所在地、亡くなった土地の3つです。
ここでいう届出人の「所在地」について、法務省は、住所登録地に限られず一時滞在地も含まれると案内しています(出典:法務省「死亡届の届出地について」をもとに要約)。法務省は令和8年6月30日付けで、窓口で死亡届の受領を拒まれた事例があったとして、法務局を通じて市区町村に周知するよう通知しています。
届出の期限と、警察が関わった場合の書類
死亡届は、届出義務者が死亡の事実を知った日から7日以内に出すことになっています(戸籍法第86条第1項)。亡くなった日ではなく、知った日から数える点に注意してください。
届書には、診断書または検案書を添付します(同条第2項)。警察が関わって医師が検案を行った場合は、死体検案書がこの添付書類になります。死体検案書は、検視・検案(解剖になった場合はその後)が終わってから受け取る流れになるため、遠方から駆けつける場合は、その時期を担当の警察官や医師に確認しておくと段取りが立てやすくなります。死体検案書と死亡診断書の違いは死体検案書と死亡診断書の違いでご説明しています。
火葬の許可は、死亡届を受け取った市区町村が出します
火葬には市町村長の許可が必要で、その許可は死亡の届出を受理した市町村長が行うと定められています(墓地、埋葬等に関する法律第5条)。亡くなった土地で死亡届を出せば、その土地の市区町村から火葬許可証が交付されます。
また、原則として、死亡後24時間を経過しなければ火葬はできず(同法第3条)、火葬場は火葬許可証を受け取った後でなければ火葬を行えません(同法第14条第3項)。火葬までの日数の目安は警察対応のあと火葬・葬儀ができるのはいつ?にまとめています。
火葬場の料金は「市内」「市外」で変わることがあります
公営の火葬場では、亡くなった方などの住所が市内か市外かで料金が分かれていることがあります。たとえば横浜市の市営斎場は、死亡者の死亡時における住民票の住所が横浜市内か市外かで火葬料金が異なり、10歳以上は市内12,000円、市外50,000円です(2026年10月時点・出典:横浜市「市営斎場のご案内」)。名古屋市も、火葬許可証に記載された死亡者の住所地で市民かどうかを確認するとしています。単身赴任などで住民票を移していた場合、横浜市では住民票のある市が「市内」として扱われます。扱いは各火葬場にご確認ください。
この区分のしかたや金額は自治体ごとに決められていて、全国で同じではありません。住まいと違う土地で亡くなった場合、その土地の火葬場では市外の料金になることがあるため、どこで火葬するかを決める前に、候補の火葬場の料金区分を確認されることをおすすめします。
住まいの地域で火葬する、という選び方
ご遺体を住まいの地域にお連れして、地元で火葬やお別れをするという選び方もあります。ご親族やご近所の方が参列しやすいことから、この方法を望まれるご家族もいらっしゃいます。
その場合は、どの市区町村に死亡届を出し、どの火葬場を使うのかを、搬送の段取りとあわせて決めていきます。距離が長くなるほど搬送の費用と時間がかかりますので、亡くなった土地で火葬して、ご遺骨をお連れする方法と比べて考えることになります。どちらがよいかはご事情しだいですので、ご事情に合わせて比べていただけます。
葬祭費・埋葬料は、故人が加入していた保険の窓口へ
手続きの中でも、葬祭費や埋葬料は申請先が違います。こちらは亡くなった土地ではなく、故人が加入していた保険者に申請します。
国民健康保険の葬祭費は、市町村(国保組合の場合は組合)が条例や規約で定めて支給するもので(国民健康保険法第58条)、たとえば大阪市は、故人が加入していた区の区役所に申請するよう案内しています。会社の健康保険の埋葬料は、協会けんぽなら加入している支部へ(健康保険組合・共済組合に加入していた場合はその組合へ)、後期高齢者医療の葬祭費は、東京都の場合、故人が住んでいた区市町村の窓口へ申請します。金額や必要書類は保険者ごとに違いますので、申請の流れは葬祭費・埋葬料の申請手順もご覧ください。
住民票の手続きはどうなるのか
住民基本台帳法第9条第2項は、市町村長が住民以外の方について戸籍に関する届書を受理したときは、住所地の市町村長に必要な事項を遅滞なく通知しなければならないと定めています。亡くなった土地で死亡届を出した場合も、住所地の市区町村にはこの仕組みで連絡が届きます。
ただし、年金や介護保険、各種の契約など、住まいの地域で別に必要になる手続きもあります。どの手続きが自動で済み、どれをご家族が行うのかは、故人が住んでいた市区町村の窓口で確認されると確実です。
遠方での手続きに迷ったら
住まいと違う土地でのご逝去は、警察での手続き、死亡届、火葬場の選択、搬送の段取りを、慣れない土地で同時に進めることになります。村岡葬研葬儀社は、警察が関わるご逝去のあとのお迎え、安置、行政手続き、火葬までをお手伝いしている葬儀社で、全国からのご相談を24時間365日お受けしています。
プラン料金は全国一律で、火葬料は各地の斎場の実費です。ご実家など遠方の地域への搬送は、距離に応じて別途お見積りとなります。ご安置が4日目以降になる場合の安置料が別にかかるほか、医師に支払う検案料がかかる地域もあります(検案料の扱いは地域によって異なります)。どこで火葬するのがよいか迷われている段階でも、お電話やLINEで状況をお聞かせください。