警察が関わったご逝去では、受け取った死体検案書の「死亡したとき」の欄に「(推定)」や「頃」と書かれていたり、日付しか書かれていなかったりすることがあります。これは書き間違いではなく、医師が検案の結果から死亡の時刻を推定して書いた、という意味です。この記事では、死亡推定時刻の書かれ方と、その日付が死亡届や相続などの手続きにどう関わるかを、厚生労働省のマニュアルと法令にそってご説明します(2026年10月時点)。
死亡推定時刻とは
死亡推定時刻とは、亡くなった瞬間に立ち会った人がいない場合に、医師が検案(医師がご遺体の外表を調べ、死因などを判断すること)の結果から推定した死亡の時刻のことです。
厚生労働省の「死亡診断書(死体検案書)記入マニュアル」は、「死亡したとき」の欄には、原則として死亡確認時刻ではなく死亡時刻を書くとしています。つまり、ご遺体が見つかった時刻や、医師が死亡を確認した時刻とは、日付や時刻が違うことがあります。
死体検案書の「死亡したとき」の書かれ方
同じマニュアルでは、「死亡したとき」の一部が分からない場合でも、分かる範囲で書くこととされています。主な書かれ方は次のとおりです(出典:厚生労働省「死亡診断書(死体検案書)記入マニュアル 令和8年度版」)。
時刻のあとに「(推定)」
マニュアルは、死体検案によってできるだけ死亡時刻を推定し、その時刻を書いたうえで、「時分」の余白に「(推定)」と書くとしています。日付と時刻は書かれていても、それが推定であることを示す書き方です。
「頃」など、幅のある書き方
一時点で明確に推定できない場合は、その状態のまま書くこととされ、記入例には日付のあとに「頃」と書いたものが示されています。時刻の欄が空いていることもあります。
「(不詳)」
死亡した年や月もまったく分からない場合は、「時分」の右の余白に「(不詳)」と書くとされています。
「(確認)」
救急搬送の途中で亡くなった場合に限り、医療機関で死亡を確認した時刻を書くことができ、その場合は「時分」の余白に「(確認)」と書くとされています。
なぜ正確な時刻が分からないことがあるのか
一人暮らしの方がご自宅で亡くなり、しばらくして見つかった場合など、亡くなった瞬間を誰も見ていないことがあります。こうしたとき、医師はご遺体の状態や、警察が確認した生活の状況などをもとに時刻を推定します。
見つかるまでの時間が長いほど、時刻を一点に絞ることは難しくなります。「頃」や「(不詳)」と書かれていても、それはご家族の対応に落ち度があったという意味ではありません。どうか、ご自分を責めすぎないでください。
死亡届の「死亡したとき」はどう書くか
戸籍法第86条第2項は、死亡届には「死亡の年月日時分及び場所」を書き、診断書または検案書を添付すると定めています。法務省も、死亡届の用紙は死亡診断書・死体検案書と一体になっていると案内しています。
死亡届の欄は、添付する死体検案書の内容と食い違わないように書くのが基本です。「(推定)」「頃」などをどう書き写すか迷ったときは、提出先の市区町村の窓口にたずねると安心です。葬儀社が提出をお手伝いする場合も、検案書の内容を確認しながら進めます。
手続きの期限は「死亡の日」ではなく「知った日」から数えるものがあります
推定の日付が数日から数週間前になっていると、「もう期限を過ぎているのでは」と心配される方がいます。けれども、主な手続きには、期限を死亡を知った日から数えるものがあります。
- 死亡届:死亡の事実を知った日から7日以内(戸籍法第86条第1項)
- 相続の放棄・限定承認:自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内(民法第915条第1項)。家庭裁判所に申し立てて、この期間を延ばしてもらえる場合があります
- 相続税の申告(遺産が基礎控除額を超える場合):被相続人が死亡したことを知った日(通常は死亡の日)の翌日から10か月以内(出典:国税庁 タックスアンサー No.4205「相続税の申告と納税」)
いつ「知った」ことになるかは、事情によって判断が分かれることがあります。期限が近いと感じたら、早めにそれぞれの窓口や専門家にご相談ください。
推定の日付が関わること
一方で、民法第882条は「相続は、死亡によって開始する」と定めています。相続がいつ始まったかは死亡の日で決まるため、死体検案書の日付は、相続の手続きなどで基準として扱われることがあります。
年金や保険など、死亡の日付をもとに手続きや金額が決まるものもあります。推定の日付で手続きを進めてよいか迷う場合は、書類を提出する先(年金事務所・保険会社など)に、死体検案書の写しを手元に置いたうえでたずねるのが確実です。
推定の内容について知りたいとき
なぜその日付になったのかを知りたいときは、検案をした医師にたずねるのが基本です。死体検案書には、検案をした医師の氏名と、病院などの名称・所在地(または医師の住所)が書かれています。連絡先が分からないときは、手続きをした警察署に聞くと分かることがあります。
死体検案書は、提出すると原本が戻らない書類でもあります。役所に出す前にコピーを取っておくと、あとで内容を確かめるときに役立ちます。検案書と死亡診断書の違いは死体検案書と死亡診断書の違いで、死亡届を出したあとの流れは検案後の手続き完全ガイドでご説明しています。
出典:厚生労働省「死亡診断書(死体検案書)記入マニュアル 令和8年度版」、国税庁 タックスアンサー No.4205「相続税の申告と納税」。本記事では、これらの内容を要約・編集して紹介しています。
書類の見方で迷ったら
村岡葬研葬儀社は、警察が関わるご逝去のあとのお迎え、安置、死亡届などの行政手続き、火葬までをお手伝いしている葬儀社です。全国からのご相談を24時間365日お受けしており、プラン料金は全国一律(火葬料は各地の斎場の実費)です。ご実家など遠方の地域への搬送は、距離に応じて別途お見積りとなります。ご安置が4日目以降になる場合の安置料が別にかかるほか、医師に支払う検案料がかかる地域もあります(検案料の扱いは地域によって異なります)。
「この書き方で死亡届を出してよいのか」といった段階のご質問でも、お電話やLINEでお気軽にお問い合わせください。