CASE STUDY

【実例】「検視は終わりました」と言われた日|あの日、電話が鳴った・第五話

この記事を書いた人

村岡葬研葬儀社 代表 村岡 淳次

警察案件対応30年以上。検視・検案、行政解剖・司法解剖後のご遺体搬送、ご安置、ご葬儀まで数多く対応してきました。

警察から「検視は終わりました」と言われた方へ

警察から、「検視は終わりました」と言われた。

それを聞いて、「では、遺体を引き取れるんですね」と思われる方がいます。

しかし、検視が終わったことと、ご遺体をすぐに引き取れることは、必ずしも同じではありません。

その後、検案などが行われたり、状況によっては解剖などの手続きへ進んだりすることがあります。

そのため警察から「検視は終わりました」と言われたら、次の3点を確認してください。

  • ご遺体はいつ返還される予定なのか
  • この後、検案などの予定があるのか
  • 葬儀社はいつ、どこへ迎えに行けばいいのか

全部分からなくても構いません。警察から説明された内容を、そのまま葬儀社へ伝えてください。

村岡葬研葬儀社では、検視・検案後の警察署等へのお迎えから、ご遺体の搬送、ご安置、ご葬儀まで対応しています。

ここからは、私が30年以上の警察案件で何度も見てきた、「検視が終わった後の、ご家族の時間」についてお伝えします。

「検視は終わりました」

午後、警察から電話が来た。

画面に表示された番号を見て、すぐに出た。

「はい。」

担当の警察官だった。いくつか説明を受けたあと、こう言われた。

「検視は終わりました。」

その言葉を聞いて、少しだけ安心した。

終わった。だったら、父を迎えに行ける。そう思った。

「分かりました。」

そして聞いた。

「では、父を迎えに行けばいいですか。」

電話の向こうから、説明が続いた。

まだだった。

「まだなんですか」

検視は終わっている。でも、父はまだ帰ってこない。

その違いが、最初は分からなかった。

「検視が終わったんですよね。」

「はい。」

「でも、まだ連れて帰れないんですか。」

警察官から、この後に必要となる確認や手続きについて説明を受けた。

私は、「はい。」「分かりました。」と答えた。

でも、頭の中では一つの疑問だけが残っていた。

検視が終わったのに、なぜ帰れないんだろう。

「検視」と「検案」は同じではありません

ここで、ご家族が混乱しやすい言葉があります。

検視。そして、検案。

似ていますが、同じものではありません。

一般に検視は、警察などがご遺体や発見時の状況などを確認し、犯罪に関係する可能性などを調べる手続きです。

一方、検案は医師がご遺体を調べ、死因などについて医学的に判断するために行うものです。

そのため、「検視が終わった」=「すべての確認が終わって、すぐ返還される」とは限りません。

ここは、警察案件を初めて経験するご家族が非常に分かりにくいところです。

検視と検案の違いは、検視と検案の違い|警察介入時にご遺族が知っておくべきことでも詳しくお伝えしています。

「あと、どのくらいかかりますか」

電話を持ったまま聞いた。

「あと、どのくらいかかりますか。」

知りたいのは、難しい制度ではなかった。

父が、今日帰ってくるのか。明日になるのか。それだけだった。

でも、その時点では正確な時間が決まっていなかった。

「分かりました。」

電話を切った。

時計を見る。まだ午後だった。

今日中なのか。明日なのか。分からない。

親戚から電話が来る。

「お父さん、帰ってきた?」

「まだ。」

「いつ帰ってくるの?」

「分からない。」

同じ会話を、何度かした。

「検視は終わった」と説明しても、家族には伝わらない

親戚に、「検視は終わったらしい」と伝えた。

すると、当然のように聞かれた。

「じゃあ、帰ってくるんでしょ?」

「いや、まだみたい。」

「なんで?」

答えられなかった。自分でも、よく分かっていなかったからだ。

警察や葬儀社にとって、検視。検案。返還。搬送。それぞれ違う段階です。

でも、突然家族を亡くした人にとっては、全部、「いつ帰ってくるのか」という一つの問題です。

葬儀社へ電話する

警察から、葬儀社についての話が出た。

スマートフォンを開いた。検索する。

  • 検視後 葬儀
  • 検視後 遺体 引き取り
  • 警察 検視 葬儀社
  • 検案後 搬送

いくつかのページを見る。

でも、知りたいのは、葬儀プランでも祭壇でもなかった。

今、何をすればいいのか。それだけだった。

葬儀社へ電話した。

私が最初に必ず確認するのは「警察介入ですか」です

警察案件のお電話をいただいた時、私が最初に必ず確認するのは、「警察介入ですか。」です。

「はい。」

次に聞きます。

「警察から今、どこまで説明を受けていますか。」

「検視は終わったと言われました。」

ここが重要です。

私は、「検視が終わったんですね。ではすぐ迎えに行きます」とは言いません。

確認します。

  • 検案について何か説明を受けているか
  • 解剖について話が出ているか
  • 返還予定について説明されているか
  • どこの警察署なのか
  • 担当者は誰なのか

一つずつ整理します。

ご家族が「検視」と「検案」の違いを説明できる必要はありません

30年以上、警察案件に携わっています。その中で、ご家族から何度も聞いてきた言葉があります。

「検視は終わったと言われました。」

「検案って何ですか。」

「もう迎えに行っていいんですか。」

「今日帰ってきますか。」

「葬儀社は今呼ぶんですか。」

ご家族が、検視と検案の違いを正確に理解する必要はありません。

警察から聞いた言葉を、そのまま伝えていただければいい。

「検視が終わったと言われました。」

それだけでも、私たちには重要な情報です。そこから、次に何を確認するべきかを整理します。

電話口で沈黙が10秒以上続くことは珍しくありません

「検視は終わったそうです。」

そこまで話して、黙ってしまう方がいます。

電話口で沈黙が10秒以上続くことは珍しくありません。

私は、すぐには次の話をしません。待ちます。

すると、少しして、こう聞かれることがあります。

「それで……父はいつ帰ってくるんでしょうか。」

結局、ご家族が知りたいのは、そこです。

検視後の流れは一つではありません

ここは重要です。

警察案件だからといって、すべてが同じ流れになるわけではありません。

状況によって、検視・検案などを経て返還へ進むケースもあれば、さらに死因を調べるための手続きが必要となるケースもあります。

そのため、インターネットで別の人のケースを読んで、「この人は当日に帰ってきたから、自分も当日だ」と考えない方がいいです。

確認する相手は、現在その案件を担当している警察です。

警察から「返還できます」と連絡が来る

しばらくして、もう一度、電話が鳴った。

警察だった。

今度は、ご遺体の返還についての話だった。

ようやく、迎えに行ける。

電話を切る。家族へ伝える。

「父、帰ってくるって。」

それまで何度も、「いつ帰ってくるの」と聞かれていた。

今度は、答えることができた。

葬儀社が警察署へ迎えに行く

ここからは、ご家族ではなく、私たち葬儀社の仕事になります。

警察側と、返還場所。返還予定。担当者。必要な確認事項。それらを確認して、寝台車でお迎えに向かいます。

警察署でのご遺体のお迎えについては、第三話「ご遺体を引き取りに来てください」で、実際のお迎えの流れを詳しく書いています。

検視が終わった後について、よくある質問

検視が終わったら、すぐにご遺体を引き取れますか?

必ずしも、すぐに返還されるとは限りません。その後の検案など、必要な確認や手続きが残っている場合があります。

警察から「検視は終わりました」と言われたら、「ご遺体はいつ頃返還される予定ですか」と確認してください。

検視と検案の違いは何ですか?

一般に、検視は警察などがご遺体や発見状況などを確認する手続き、検案は医師がご遺体を医学的に調べ、死因などを判断するためのもの、という違いがあります。

実際の案件について分からない場合は、担当警察官へ「今はどの段階ですか」と確認するのが分かりやすいでしょう。

検視にはどのくらい時間がかかりますか?

案件によって異なります。発見時の状況や確認事項、その後に必要となる手続きなども異なるため、「検視は必ず○時間で終わる」とは言えません。

また、検視が終わる時間と、ご遺体が返還される時間も同じとは限りません。そのため、ご家族にとっては、「いつ返還できる見込みなのか」を確認することが重要です。

検視後、葬儀社にはいつ連絡すればいいですか?

返還時間が完全に決まる前でも相談できます。

警察から、「葬儀社を決めてください」「お迎えの葬儀社を手配してください」などと言われた場合には、早めに葬儀社へ連絡してください。

返還日時が未定でも、現在警察から受けている説明をもとに、その後のお迎えやご安置について準備できます。

検視後に解剖になることはありますか?

状況によっては、さらに死因を明らかにするための手続きへ進む場合があります。

警察から解剖について説明された場合は、どのような手続きになるのか、ご遺体の返還はいつ頃になる見込みなのかを確認してください。

解剖の種類による違いは、司法解剖と行政解剖の違い|遺族の負担と費用を完全解説でもお伝えしています。

警察の検視後、ご遺体はどこに安置されますか?

検視・検案など必要な手続きが終わり、ご遺体が返還された後は、ご自宅や安置施設などへ搬送することになります。

どこへご安置するかは、ご家族の希望だけでなく、ご自宅で安置できる環境があるか、ご遺体の状態はどうか、その後の葬儀をどのように行うか、などを確認して決めます。

「できれば一度、自宅へ連れて帰りたい」という希望がある場合には、そのことを葬儀社へ伝えてください。

一方、ご自宅での安置が難しい場合には、安置施設を利用する方法があります。

警察から葬儀社を手配するよう言われた場合は、まず、返還場所と返還予定を確認し、葬儀社へ相談してください。

村岡葬研葬儀社では、警察署等へのお迎えから、ご自宅または安置施設への搬送まで対応しています。

検視後、警察署から自宅へ搬送できますか?

返還後にご自宅へ搬送できる場合もあります。

ただし、ご自宅の環境やご遺体の状態などによって、安置施設をご案内する場合もあります。

自宅へ連れて帰りたい希望がある場合は、葬儀社へ事前に伝えてください。

「検視は終わりました」と言われたら確認したい5つのこと

警察から電話が来たら、すべてを理解しようとしなくて構いません。

まず確認したいのは、次の5つです。

  1. 検視後、この先に予定されている手続きはあるのか
  2. 検案について説明を受けているか
  3. ご遺体はいつ頃返還される見込みなのか
  4. 返還場所はどこなのか
  5. 葬儀社はいつ、どこへ迎えに行けばよいのか

分からない項目があっても構いません。警察から聞いた内容を、そのまま葬儀社へ伝えてください。

「検視が終わった」ではなく「いつ帰ってくるのか」

警察案件に30年以上携わっていると、同じ言葉を何度も聞きます。

「検視は終わったと言われました。」

でも、その後に続く質問は、ほとんど専門的なものではありません。

「父はいつ帰ってきますか。」

「母をいつ迎えに行けますか。」

です。

ご家族にとって、検視という言葉そのものが重要なのではありません。その先に、亡くなった家族がいる。

だから、「検視が終わった」と聞けば、「帰ってくる」と思う。

でも、実際にはまだ待つことがある。

その時間が、ご家族には長く感じられます。

担当スタッフより

検視。検案。返還。

私たちは日常的に使う言葉です。でも、突然警察から連絡を受けたご家族にとっては、初めて聞く言葉ばかりです。

だから、私はご家族に、専門用語を覚えてくださいとは言いません。

警察から、「検視は終わりました」と言われた。それだけでも構いません。

そこから、今どの段階なのか。この後何があるのか。いつ頃返還されるのか。一つずつ確認していきます。

警察案件では、分からないまま待つ時間が、ご家族を不安にさせます。

だからこそ、今分かっていることと、まだ分からないことを分ける。私はそれを大切にしています。

警察から「検視は終わりました」と言われたものの、この後どうすればいいのか分からない場合は、現在警察から受けている説明だけでも構いません。村岡葬研葬儀社へお聞かせください。

検視・検案後の警察署へのお迎え、ご遺体搬送、ご安置、ご葬儀まで対応しています。

全国の警察案件に対応しています。お住まいの地域や、ご連絡を受けた警察署の場所にかかわらず、まずはご相談ください。

「あの日、警察から電話が鳴った。」警察案件実録シリーズ

第一話「葬儀社を決めてください」

警察から突然、葬儀社を決めるよう言われた時の流れをお伝えしています。

第二話「身元確認をお願いします」

「お父様で間違いありませんか。」「……はい。父です。」身元確認後の流れを実録形式でお伝えしています。

第三話「ご遺体を引き取りに来てください」

検案を待ち、警察署から故人様を寝台車でお迎えするまでをお伝えしています。

第四話「行政解剖になります」(準備中)

行政解剖の費用負担、ご遺体の返還、その後の葬儀までをお伝えします。

第五話「検視は終わりました」(この記事)

第六話へ続く。

※掲載許可をいただいたうえで掲載しています。プライバシー保護のため、内容の一部を変更・編集しています。

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