警察署でのお手続きが終わり、ご遺体をお引き取りになる段になって、多くのご遺族が最初に口にされるのが「家に連れて帰れますか」という言葉です。連れて帰りたいけれど、そんなことができるのか分からない。逆に、「家に置いておくのが正直こわい」と感じる方もいらっしゃいます。どちらのお気持ちも、めずらしいものではありません。ここでは、お引き取りのあとご遺体をどこにお預かりすることになるのか、ご自宅と安置施設では何が違うのか、どのくらいの日数と費用を見ておけばよいのかを、法律と実際の進み方にそってご説明します。
引き取ってすぐには火葬できないので、お預かりする場所が要ります
そもそも、お引き取りのあとに「安置」という時間が必要になるのは、法律でそう決まっているからです。
墓地、埋葬等に関する法律は、死亡または死産のあと24時間を経過しなければ火葬してはならないと定めています。また、火葬には市町村長の許可が必要です。死亡届を出して火葬許可を受け、火葬場の日時を押さえる——この手続きが済むまでの間、ご遺体をお預かりする場所が要る、というのが安置の意味です。
この24時間のきまりと火葬許可の手続きについては、警察対応のあと火葬・葬儀ができるのはいつ?で詳しくご説明していますので、そちらをご覧ください。この記事では、その間ご遺体をどこでお預かりするかに絞ってお話しします。
安置できる場所は、大きく二通りです
選択肢は、ご自宅にお連れするか、葬儀社の安置施設や斎場の安置室にお預けするか、大きく分けてこの二通りです。どちらが正しいということはありません。お住まいの状況、ご家族の人数、そしてご遺体の状態によって、選べる範囲が変わってきます。
警察からお引き取りになる場合は、その場で決めておいていただく必要があります。お迎えにあがった車を、どこへ向けるかという話だからです。迷われている段階でご連絡いただければ、状況をうかがったうえでご提案いたします。
ご自宅に安置する場合
ご自宅にお連れすること自体を一律に禁じる法律はありません。感染症のまん延を防ぐために行政がご遺体の移動を制限することはありますが、通常のケースには当たりません。お住まいがマンションでも、一戸建てでも、法律上の扱いは変わりません。そのうえで、実際に決める前に見ておいていただきたい点がいくつかあります。
ひとつは、お部屋までの経路です。お棺のままお運びしますので、玄関からお部屋までの廊下の幅、階段の曲がり角、エレベーターに入るかどうかが問題になります。集合住宅では、管理規約や管理会社の取り決めで運び入れの時間帯などが決まっていることもありますので、事前にご確認いただくと安心です。
もうひとつは、お部屋の環境です。ご遺体はドライアイスなどで冷やしてお守りしますが、それでも室温が高い場所は向きません。エアコンで室温を下げられるお部屋があるか、直射日光が当たらないか、といった点を見ます。ドライアイスは日数が延びるほど使う量が増えますので、その分の費用も日数に応じてかかります。
ご自宅を選ばれるいちばんの理由は、そばにいられることです。お顔を見て、声をかけて、そばで過ごす時間は、ご自宅でなければ持てません。とくに、突然のお別れで気持ちの整理がつかないままここまで来られた方には、この時間が大きな意味を持つことがあります。
「家に置くのがこわい」と感じても、おかしなことではありません
その一方で、ご自宅にお連れすることをためらわれる方も、たしかにいらっしゃいます。そう感じてしまうご自身を責めてしまい、それを口にできずにおられる方もあります。
その感じ方は、故人様への思いとは別のものです。人が亡くなる場面に立ち会うのは、多くの方にとって人生で数えるほどしかありません。慣れていないことを前にして身構えてしまうのは、自然なことです。とくに、警察からのご連絡という形で突然お別れを知らされた場合、心の準備がないまま数日が過ぎていきます。その状態で夜を越すのがつらい、と感じられるのであれば、無理をなさる必要はありません。
お預けになっても、お別れができなくなるわけではありません。安置施設でお会いになり、ご納棺やご出棺のときにゆっくりお過ごしいただくという進め方もあります。ご家族の中で意見が分かれる場合も、どちらが正しいという話にはしないでください。ご自宅にお連れするかどうかは、故人様を大切に思う気持ちの深さとは関係がありません。
安置施設にお預けする場合
安置施設は、ご遺体をお預かりするために温度を管理した設備です。ご自宅の環境に不安がある場合、ご家族が遠方にお住まいの場合、お仕事の都合で付き添いが難しい場合などに選ばれます。
確認しておいていただきたいのは、面会ができるかどうかと、その時間帯です。施設によって、いつでもお会いいただけるところと、時間を決めているところがあります。「お別れは火葬の日だけ」と思い込んでしまわれる方がいらっしゃいますが、多くの場合はそうではありません。何度でもお会いになりたいのであれば、そのご希望を最初にお伝えください。
費用は、お預かりする日数に応じて積み上がっていく形が一般的です。安置料そのものに加えて、ドライアイスの費用が日数分かかります。ですから「何日お預かりすることになるのか」が、そのまま金額を左右します。
どのくらいの日数、安置することになるのか
短ければ二日ほど、長引くときは一週間を超えることもあります。振れ幅が大きいのは、日数を決めるのがご遺族の都合ではなく、火葬場の空き状況だからです。
火葬場は一日に対応できる件数が決まっていますので、混み合う時期は予約が先になります。年末年始や、亡くなる方が多い季節はとくにその傾向があります。神奈川県内でも、市によって、また時期によって事情が変わりますので、お引き取りの前後で火葬場の空きを確認して、そこから逆算して安置の日数をお伝えするという進め方になります。ご予約やお手続きのお手伝いもいたしますので、ご家族が何か所にも連絡を取っていただく必要はありません。
警察がお預かりになっている場合は、そもそもお引き取りまでの日数も読みにくくなります。検視や検案、解剖が行われるかどうかで変わるためです。この点は警察署からご遺体を引き取る流れにまとめていますので、あわせてご覧ください。
警察からお引き取りになる場合に、特有のこと
もうひとつ、お伝えしておかなければならないことがあります。ご遺体の状態によっては、ご自宅への安置が難しい場合があります。
お一人暮らしで発見までにお時間が経っていた場合や、事故によるお別れの場合などです。こうしたときは、安置の設備が整った場所でお預かりしたほうが、ご遺族のお身体のためにも安心です。お姿を整えるお手当て(修復)を別途承ることもできますので、お会いになる前に、いまどういう状態なのかを正直にご説明いたします。ご覧になるかどうかを決めていただくのは、そのご説明を聞いてからで構いません。
なお、警察署でお預かりいただいている間にお会いできるかどうかは、また別の話になります。こちらは警察に安置されているご家族と会えますかでご説明しています。
決める前に、お声をかけてください
村岡葬研葬儀社は、神奈川全域で警察がお預かりになったご遺体のご搬送から安置、行政手続き、火葬までを承っている葬儀社です。警察対応プラン(税込363,000円〜)には、警察署からのご搬送と当社安置施設でのご安置(最大3日間)、行政手続き、火葬までが含まれます。火葬場の混み合いなどで4日目以降もお預かりする場合は、追加安置日として1日あたり11,000円(税込)〜を申し受けます。お支払い金額は事前のお見積もりでご提示しますので、お見積もりのあとに追加のご請求をすることはありません。
ご自宅にお連れできるかどうかは、お住まいの状況とご遺体の状態を見なければ判断できません。「うちの間取りで運び入れられるのか」「この暑さで家に置いて大丈夫なのか」といった段階で、遠慮なくお尋ねください。お引き取りの前でも構いません。ご相談は24時間365日、お電話でもLINEでもお受けしています。